NARUTO二次創作腐女子サイト。カカナルオンリー。
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久しぶりの更新です。
蒼のキリエの続編の続編。
今週は月曜日の早朝にベトナムから無事に帰ってきて、毎日半死人状態で仕事してました。
ベトナムが楽しすぎて、現実がつらすぎです。
そして寒い!!
メコン河。
ベトナムで買った携帯置き。
気分を紛らわせる為、会社で使ってます。(置いてるのは会社携帯です)
小説の雰囲気ぶち壊しな写真ですいません。
許してくれたらまた載せます。
その手が望むなら、ずっと手を繋いでいよう。
その耳が望むなら、いくらでも名前を呼ぼう。
その身体が望むならいくらでも抱き締めてあげよう。
君が望むなら、僕のすべてをあげるのに。
太陽が東に落ちる頃、今日の任務はなんとか終了することができた。
逃げた猫を捕まえるという、ありがちなDランクの任務は、ターゲットの猫が、思いの外すばしこっかったせいで、予想外の時間と体力を使ってしまった。
3人の子ども達は皆疲れはてたように地面に座り込んでいる。
そんな三人を見下ろしながら、カカシはようやく解散を言い渡した。
「あー疲れたぁ!早くお風呂入りたいわ。あ、サスケくん!一緒に帰りましょう!」
任務の疲れとこれは別、と言わんばかりの勢いで、サクラはサスケを引きずるように帰って行く。
ナルトはそんな二人に笑いながら手を振っていた。そんなナルトに気づいたサクラも、サスケの腕は離さないまま、手を振る。
三人の子どもを包み込む柔らかなオレンジ色の光。
そのなかで笑いながら手を振りあう光景は、まるで絵に書いたような幸せな一瞬だった。
カカシはその光景を眩しいものを見るように目を細めた。
綺麗な夕焼け。
美しい里の景色。
幸せそうな光景。
その中に潜む闇。
「じゃあセンセイ!明日は遅刻すんなよ!」
サクラとサスケの姿が見えなくなるまで手を振っていたナルトは、そう言ってカカシにも手を振った。
無邪気に笑う姿は、まるで作られたように無邪気そのもので、それがナルトの強烈な拒絶などわかる。
あの日から、もうすぐ一週間。
次の日、集合場所にある意味いつものように遅刻したカカシに、ナルトは今までと何一つ変わらない態度で接してきた。
いつものように笑い、いつものように悔しがり、いつものように必死だった。
あまりにも普段と変わらないナルトの姿に、カカシはようやくその「いつも」さえナルトが作り出したものだと言うことを悟り、愕然とした。
ナルトが一体いつから、あんな事をしているのか知らない。だから、カカシは一体いつからナルトが「いつも」を演じているのか分からない。
本当のナルトがどれなのかもわからない。
その事実は毎夜、カカシを苦しめた。
昼間はまだいい。任務に勤しむ子ども達を見れば一時でも忘れられたし、任務があれば目の前の任務 に集中できた。
けれど、なにもない夜はダメだった。
同じ夜の中、ナルトが誰とも知らない男に抱かれているのだと思うだけで、カカシは気が狂いそうな焦燥感と底無しの絶望感に苛まれた。
上忍として、何日かは眠らなくても平気なようになってはいるが、任務で眠れないとは意味が違う。
そうして、カカシが眠れなくなった間もナルトは変わらず笑っている。
硝子細工のようなキレイな笑顔。
「ナルト。」
さっさと自分の横をすり抜けて行くナルトに声をかけると、ナルトは立ち止まってカカシを振り返った。
「なんだってば?」
そう言ったナルトの蒼い瞳の奥には微かな怯えがある。
あの日から、カカシが改めてナルトに声をかけたのは初めてだったからかもしれない。
カカシはそんなナルトを一瞬見つめた後、わざとニッコリと笑って見せた。
「気をつけて帰れよ~。遅刻しないようにな!」
「センセイにだけは言われたくないってばよ!」
カカシが勉めてかつてのように声をかけると、ナルトは安堵したように一瞬息をつき、そのすぐ後には明るく声を返してきた。
そして振り返ることなく、その背中は遠くなり、やがてオレンジの光に溶け込んでいく。
カカシはその背中が見えなくなっても、ずっとその場に立ち尽くしていた。
オレンジの光が藍色に変わっていく。
いつかの夕暮れと同じ色、同じ景色。
ポケットに両手を突っ込んだまま、ぼんやりとどれだけそうしていたのか。
立ち尽くすカカシの脳裏に浮かぶのは、自分が答えた時、ほんの一瞬だけ悲しげに翳った蒼の瞳。
その瞳の意味が一体何なのか、カカシはずっと考えていたが、その答えはでない。
ただ、間違いなく言えるのはナルトが傷ついていると言うこと。
そう、ナルトは傷ついている。
その痛みに慣れすぎて気づくことすらできないほど、ナルトは深く傷ついているのだ。
けれどどれ程ひどい傷でも、やがて瘡蓋となって消えていく。
恐らくナルトはもう何度も、傷を負い、その度に瘡蓋を待ちながら痛みに耐えてきたのだろう。
そうするしかできなかったナルト。
そうする選択しか与えなかった里。
きっと今回の事も、ナルトの中でいずれは瘡蓋になって消えていく。痛みに慣れたナルトにとっては、それは慣れた日常なのかも知れない。
その瘡蓋の下に全てをしまいこみ、いつしか泣くことさえ忘れて、一人で膝を抱えるのだろうか。
「…そんなこと、させない。」
カカシの口から漏れでた言葉は、見かけとは裏腹に強い響きをもって夕闇に溶けた。
目をこらさないと先が見えないほど、あたりを覆い尽くそうとしている夜の闇。
きっとこの闇の先で、ナルトは新しい瘡蓋を増やすのだろう。
カカシは、指が白く血の気を失うまで強く握った。
ナルトが瘡蓋を望むのなら、カカシは何度でもその傷を暴こう。
瘡蓋を剥がし、また新しい傷が生まれ、ナルトがその傷に苦しんでも、傷を見えないふりになんてさせない。
「…泣けばいいんだよ、ナルト。」
ナルトが痛みに泣けばいいとカカシは思う。
傷つきすぎて、痛みに麻痺したナルトが新しい傷から流れる血を見て、痛みを思い出して泣けばいいのだ。
傷を負い、痛みに泣いて、傷つくことを思い出して。
そして、例えどんなに深く酷い傷でも、その傷ごと抱き締める人間がそばにいることに気づけばいい。
傷と代償に手にいれる優しさなんかじゃなく、ただ無条件でナルトを抱きしめる腕がそこにあることを。
ナルトが望めば、命さえ差し出す存在がいることを。
「お前が望むなら、なんだってしてあげるよ。」
ここにはいないナルトを想い、カカシはそっと呟いた。
この腕、この声、この身体。全てを捧げてお前を救えるのなら。
何一つ惜しくはないから。
泣いて、泣いて、そして笑っていてよ、いつまでも。
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